2023年度 第4回勉強会報告
ポストコロナの自殺対策計画~保健所の現場から

2023年度 第4回勉強会報告

ポストコロナの自殺対策計画~保健所の現場から

講師紹介

白井千香

1986年筑波大学卒 都立病院勤務を経て、公衆衛生医師として30年余、東京都・神戸市・枚方市で感染症対策や健康危機管理に関して従事。 
全国保健所長会副会長 枚方市保健所長 性と健康を考える女性専門家の会理事

講演概要

H28年度の改正自殺対策基本法の基本理念は、自殺対策は「生きることの包括的な支援」として行われることとされた。
また、自殺対策の地域間格差を解消し、ナショナルミニマムとして「誰も自殺に追い込まれることのない社会」の実現をめざして、H29年度に自治体(市町村)は「地域自殺対策計画」を作ることとなった。
自殺者が減少してきた経過から翻ってコロナ禍の影響で悪化した状況となった今、その見直しの時が来ている。
国の自殺総合対策大綱には、新たに「遺された人への支援の充実」と「女性に対する支援の強化」が追加された。
自殺対策における保健所の関わりを精神保健事業や新型コロナ対応の経験から考察し、女性への支援の取り組みなどが予防計画にどのように取り入れられているか、地域によって特徴のある計画もあり、実効性のあるアウトカムを得るために私達は何が出来るかを考えてみたい。

勉強会報告

参加した皆様のご感想
  • 質疑応答がとても面白かった。特に虐待を受けた人が苦痛に対する閾値が高いという意見は納得できた。
  • コロナ禍で女性の自殺が増えた理由がよくわかっていなかったのですが、人とのつながりと聞いて腑に落ちました。男性はオンラインで会社と繋がっていたけど、非正規が多い女性たちは会社とのつながりが男性ほどにはなかったのかもしれないと。そうすると男性に比べて孤独感が強かった、というのはあるだろうなと思いました。俯瞰した視点からのお話をおうかがいできたのでわかったことでした。
  • 自殺と自死の言葉の使い分けをお教えいただき、遺族の方が、自殺という言葉を使って欲しくないと言われても、きちんと使い分けをしなくてはならないものであることを理解できました。日本の青少年の死因の第一位である自殺を食い止めるために、自殺者防止のゲートキーパーとして、あらゆる職種が認識を新たにするときが来ていることを強く感じました。

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