2023年度 第3回勉強会報告
DV加害者プログラムが目指すジェンダー平等の社会

2023年度 第3回勉強会報告

DV加害者プログラムが目指すジェンダー平等の社会

講師紹介

田中剛太

一般社団法人PROVE共同代表。一般社団法人アウェアでのDV加害者プログラム及び被害女性プログラムのファシリテーターを経て、2023年4月にアウェアから分離独立してPROVEを設立し、引き続き加害者プログラムを実施。DV加害者更生教育プログラム全国ネットワーク(PREP-Japan)運営理事。児童養護施設「若草寮」運営理事。元NPO法人女性医療ネットワーク理事。明治学院大学社会学部社会学科非常勤講師。社会学博士(専門はエスノメソドロジー/会話分析)。

講演概要

「DV加害者プログラムが目指すジェンダー平等の社会」という本講演のタイトルは、DV(ドメスティック・バイオレンス)とはGBV(ジェンダー・ベイスド・バイオレンス)、即ちジェンダー格差に基づく暴力であるということを意味しています。つまり、DV加害者がDVをしてしまう背景にあるのは、男性優位という価値観に基づいた思考パターンです。これは彼らが社会の中で学んできてしまったことであり、言い換えればDVは社会が生み出したものと言えます。DV加害者プログラムの目的の一つは、無意識に学んできてしまったこうした価値観を「学び落とす」こと、そしてジェンダー平等の価値観を「学び直す」ことにあります。
本講演では、以上のような大枠を踏まえて、次のようなことをお話ししたいと思います。

  • DVとその背景(「力と支配」「ジェンダーバイアス」「暴力容認意識」)
  • DV加害者の実態
  • DV加害者プログラムで行うこと
  • DV加害者が「変わる」ために取り組むべきこと
  • 加害者プログラムが「被害者支援の一環である」ということ
  • DVを生まない・許さない社会にしていくために

DV加害者は決して特殊な人たちではありません。男女問わず誰もが多かれ少なかれ彼らと同じような価値観や思考パターンを学び、備えています。DV被害者もジェンダーの学び落としが必要です。ジェンダーを問わずみんなが互いを尊重し合い、誰もが自立した人生を生きることのできる社会を実現すること。それが、DV加害者プログラムが究極的に目指すことなのです。

勉強会報告

参加した皆様のご感想
  • 性教育の中に、自分が性暴力加害者や被害者になった場合、どうすればいいのかも、本日のプログラムなどがあるという情報が入っていると、その状況を体験した場合の行動ができる知識となるので入れていただきたいと思いました。
  • DVの本質然り、対策然り、知らなかったことや社会文化によって「誤解」を強いられたままになっていたことが多いことに気づかせていただきました。貴重な学びの機会をありがとうございました。相手によらず、いやなことは嫌と言っていいという教育が幼少期から当たり前になされていくような社会にしたいものと思いました。普段考えないようなことを考えさせていただき感謝します。
  • PROVEさんの取り組み、非常に建設的で感動しました。賛同する芸能人の方とか、ボランティアで広告塔になってくださる方が宣伝してくれないかな、そうしたら法制度も一気に進んで大きな助成金もつくのにな、なんて考えていました。

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