当会の始まりは、日本で認可になっていない低用量経口避妊薬のピルの承認に向けた活動でしたから、このプロジェクトが最も古いプロジェクトになります。

1970年代前半に活動した中ピ連(ちゅうぴれん)(中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合、日本のウーマンリブ団体で代表は元薬事評論家の榎美沙子)以外は、日本では「産む産まないは女性の権利」というアピールはあったものの、ピルを擁護する団体はありませんでした。

私たちは「ピル推進派」と呼ばれ、2000年前後は「環境ホルモン」として「ピルが川を汚す」などと言うデマも新聞で大々的に書かれました。認可前後は、メディアに向けてどれほど科学的な話や海外の動向を伝えても、記事の最後には「やっぱり怖い副作用」などと書かれ続けていました。

20年以上経っても、未だに女性の権利保障という根本的な課題が解決されていないことには失望しますが、活動開始から2年後の1999年に避妊のピルが認可され、2011年には緊急避妊薬が認可され、2021年には中絶ピルが承認申請されるなど、着実に進んでいることは喜ばしいことです。

当会の活動は主に、専門家として勉強会やシンポジウム、メディアへの情報提供の形でピルについて周知してきました。女性に対するスティグマから、ピルに対する根拠のない言説がまかり通るなかで、専門家の会は科学的根拠を大事にしてきました。

中絶ケアについても、手術から2015年に導入されたMVA(手動真空吸引法)への移行を促したり、海外で普及している中絶ピルの国内での導入などについて提言を行っていきます。刑法堕胎罪や、母体保護法の問題にも取り組んでいきます。

女性が自分たちの身体についてきちんと知り、決定できる情報提供が大事だと考えています。