2022年度 第4回勉強会報告
これからの社会を元気で働き、生きるための女性のヘルスケア
2022年度 第4回勉強会報告
これからの社会を元気で働き、生きるための女性のヘルスケア
講演概要
日本は少子高齢化が進んでおり、女性の平均年齢は87.7歳、百寿者は76,458人、生涯未婚率は14.1%、第一子出産年齢は32.8歳、合計特殊出生率は1.37、人工授精による出生児は14人に1人となっています。労働に関しては、雇用者数は2,992万人で、労働力率は70.9%まで上昇し、10代から60代まですべての年齢で労働力率が増加し、妊娠出産期に下がるいわゆるM字カーブはほぼ消失しています。働く女性の健康は次世代の維持、子どもたちの健康、労働や家庭の維持、老年期の健康確保のためにも重要で、持続可能な社会のために鍵となります。
経済産業省は、2017年に「働く女性の健康推進」に関する実態調査を行い、女性のキャリアに影響する疾病・症状として、若年層では、月経関連疾患が7割、PMSが6割、中高年では更年期障害が5割、すべての年代でメンタルヘルスが3~4割であること、また、こうした症状や疾患で、様々なキャリアアップを諦めていることが明らかにしました。
労働者の健康施策を福祉やコストと考える時代から、経営上の投資と考える世界的な潮流に乗り、健康経営認証制度が2014年から開始され、2018年からその認証要件に女性の健康が含まれるようになりました。
雇用格差、妊娠出産・育児介護との両立、ハラスメントなど女性に多い問題は多く、女性の健康課題には、社会文化的、行動的、生物学的アプローチが重要です。
具体的には、性差に敏感なヘルスリテラシーを向上すること(女性、男性、管理職、経営者すべて)、職場の相談窓口の整備、医療機関との連携、職場環境の整備(労働時間、仕事と治療の両立、性差を考慮した健診・検診、雇用格差の是正、ハラスメントの防止)、ヘルステック・フェムテックの活用、生活習慣の改善、学びの継続などです。
そして、私が何よりも重要だと考えているのは、女性自身もアンコンシャスバイアスに気づき、自分が自分の人生の主人公であるという認識を持つこと、何とかなる・何とかするというレジリエンスや楽観性です。元気で生き、働くことは自分たちの権利であることをしっかり認識し、政治や経済、医療など女性も男性も元気で生き・働ける社会にしていきましょう。
勉強会報告
参加した皆様のご感想
- 多面的に学ぶことができました。産業医からの視点は女性の健康を考える上で不可欠な視点だと思っていましたので、有意義な機会になりました。
- 女性がおかれている立場を概観できました。
- ジェンダードミノの出発点が「政治」だという荒木先生のご発言、素晴らしかったです。性差や世代差に寄り添いながら、だれにとってもフェアな社会となりますように願うばかりです。
- 日本の産業衛生の背景から制度、現状や課題、新たな取組などを女性の視点で幅広くお話しいただき感動しました。女性自らが働くモチベーションを維持して次の世代にも希望を繋げる世の中になるよう、私達ができることは何かを考えさせられました。先ずは新型コロナで翻弄された自分や周囲のレジリエンスを意識して、セルフケアができるようになりたいです。荒木さんからの応援メッセージをひしひしと感じました。
当会では、女性の健康について学びを深める勉強会を開催しています。
皆様のご参加をお待ちしています
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