講演概要

女性性機能外来には、性に悩む女性たちがその悩みを相談するために受診されます。訪れるのはパートナーとの性的関係についての悩みをもつ女性が主ですが、中にはパートナーがいなくても自分の性について悩みを持って受診される女性もいます。相談内容は挿入障害が最も多く、性交痛、性欲低下などが続き、大半を占めますが、主訴が同じであっても彼女たちの背景や心情はさまざまであり、彼女たちの悩みが「性の悩み」であるだけではなく、「生の悩み」でもあることに気付きます。

セックスひとつをとっても、その人の仕事、経済状況、友人知人との関係性、家族、パートナーとの関係性などのありとあらゆる環境要素と、性経験、社会経験、宗教、信条、教育レベル、生育歴、健康状態などの本人の要素とが影響しあいひとつの形が成り立っています。セックスは全人的な営みであり、性はその人の人生でもあります。顕在化した「性の悩み」の裏には、大なり小なりさまざまな「生の悩み」が隠れているのです。

女性たちは女性として生きていく中で何をどのように悩んでいるのか？女性性機能外来という箱を通して気付いたことをお話したいと思います。…と少し壮大に語ってしまいましたが、医療者としても、性の臨床家としても、女性としてもまだまだな37歳の女性医師である私が、女性性機能外来で女性たちとお話していて気付いたことをお話させていただきます。

勉強会報告

• 産婦人科の治療は、なかなか利益がないということは、医療が届かない人が増えるということなので、問題だなぁと思いました。いろいろな話題で話し合えてよかったです。
• 講師の村田先生をはじめ、多くの産婦人科医の先生方のお話を拝聴でき、とても勉強になりました。
• 違った視点での性障害患者さんへの取り組みを聞けてよかった。どうしても一人よがりになりがちだったと気づけた。
• 興味深く聴かせて頂きました。加齢と共にもうパートナーは要らないな、パートナーとの関係を育むことに関心が持てないなと感じることが多くなっています。自分の性との付き合い方がよくわからなくなっていて・・・またどこかで質問させて下さい。
• 挿入障害や痛みについては、まず治療対象になる病態があって、その上で痛みを我慢しての性交などで行為ができなくなったり、嫌悪したりするようになるのか、最初から精神的に性交自体が受け入れがたいのかが、ちょっとわからなかった部分でした。なぜ痛いのを我慢するのかは、セックスは「最初は痛い、気持ちよくなるには回数が必要 みたいな話を信じてひたすら我慢するような人もいる気がします。挿入できない、痛いことが、治療が必要なものなのか、セックスグッズで解決するのかはどのように判断すればよいのか、自分で判断できるのかなと思いました。また、勉強の機会をいただけたらと思いました。
• とても良かったです。女性なら多かれ少なかれ感じたことがある方が多いと思います。
• 村田先生のブログを拝読していたので、とても楽しみにしていました。私はコミュニケーションやテクニックの改善で性の悩みを解消するアドバイスを行なっています。医療の現場ではどのような症例や治療方法があるのか直接お話を聞けて大変勉強になりました。「パートナーと体の相性が合わない」「オーガズムがわからない」という主訴で私の元に相談に来られた方が母親・祖母の性に対するネガティブな価値観を取り込んでいることで悩みが深刻化しているケースを見てきたので村田先生の診察でも同様のケースがあることに共通点を感じました。初診で「セックスはしなくてもいい」と先生に言われて安心する患者さんのエピソードはそれほど1人で孤独に悩みを抱えて来院されているんだと思う一方、具体的に治療を経てどうなりたいのかわかない患者さんが多いという矛盾が意外に感じました。「性反応」や「女性器の構造・潤滑のメカニズム」は性別問わずに高校生までに性教育で伝えておきたいという意見に大いに共感します。母親の性の価値観が子供の恋愛やセックス観に与える影響を考えると、女性がプレジャーベースで性や生殖行為を主体的に行うことの大切さを再確認しました。
• 村田先生のお話しは具体例が多く大変わかりやすかったです
• 女性性機能外来での実際の症例や治療例を知る機会がこれまでになかったので、とても勉強になりました。

当会では、女性の健康について学びを深める勉強会を開催しています。
皆様のご参加をお待ちしています