3月8日 国際女性デーに向けて:代表理事 早乙女智子

3月8日 国際女性デーに向けて
一般社団法人性と健康を考える女性専門家の会 代表理事 早乙女智子

今年もミモザの黄色い花を見かけるようになり春の訪れを感じます。1904年3月8日は、ニューヨークの女性たちが、女性が平等に社会参加できるようにデモを行った日だそうで、国際女性デーとされ、ミモザがシンボルとなっています。
私たちの性と健康を考える女性専門家の会も、女性が専門家として女性の健康に関して啓発活動を行い、性別に関わらず自分らしく生きられる社会を目指して活動をしています。会の名称も、一般社団法人化するときに改名するか検討しましたが、社会がまだ変わっていないと判断し、名称をそのまま継続しています。

フェムテックや性教育などが、少しづつ語りやすくなったり、目に触れやすくなったりしたとはいえ、本質的な制度の改善や女性が生きやすい社会にはなっていないのではないでしょうか。婦人科外来でピルを服用する女性が増え、自分の人生を自分の意思でつむいでいくようにはなりましたが、その先には妊娠を考えるつもりはないと言い切る女性も増え、選択しているというよりも選択しようがない社会になってしまっているのではないかと懸念しています。

昨年ようやく認可された経口中絶薬も認可のときは騒がれ、認可からもうすぐ一年経ちますが、まだ95%以上の施設で対応できていません。少子化が懸念されているなかで起こっている現実は、産科の撤退で、産み場所の産み方の選択肢もなく、ますます産みにくくなっています。

3月31日には、当会の初代会長である堀口雅子先生とパートナーの貞夫先生のお誕生会を予定していますが、お二人とも90代。約30歳年下の私たちがその歳になることまでにはこの社会が変わっていることを願いたいものです。

「個人的なことは政治的なこと、政治的なことは個人的なこと」とは、1960年代のフェミニズム運動のスローガンですが、今、まだこの言葉は大切でその頃と状況は大きくは変わっていません。

刑法堕胎罪の存在も、母体保護法の問題も、そして昨年改訂された「困難を抱えた女性の支援法」についても、根本的な女性の身体権や自由を保障するにはほど遠い法律が存在し、女性の貧困や性被害など、20世紀の負の遺産が、あふれかえっています。

私たちは何をすべきなのか。自分の魂と対話し、心の底からの精神的安寧を得ることを遠慮しないことではないでしょうか。誰に言われなくても、誰かに何か言われても揺るがない自己というものを、妊娠出産する可能性を持つという、一見、閉じていない生命のループの中にあっても、自分の存在はあくまでも個でありうるという概念を自分で理解し実証することだと思うのです。

難しいことではありません。自分が自分であるというただそれだけのことを、男性は当然のこととして実行していて、女性となると子孫への憧憬に絡めとられてしまう、そのことを女性性と呼ばなければいいようにも思います。

すべての人に、あなたの人生はあなたのもの、と伝えたいのです。当たり前のことだから。そしてそのことに気付かないまま苦しんでいる人には、自分を傷つけないように伝えたい。社会を変える一方で、自分自身も楽しい人生を過ごすために変わっていきましょう。
国際女性デーが要らなくなる世界へ一歩進めていきたいものです。