2025年度 第4回勉強会報告|小児科クリニックでの産後ケア

2025年度 第4回勉強会報告

小児科クリニックでの産後ケア

2026年1月24日開催

講師紹介

佐山圭子

和歌山県立医科大学卒業後
国立病院医療センター(現在 国立国際医療研究センター)で小児科研修開始
静岡県立こども病院 佼成病院(現在 杏林大学杉並病院)
都立広尾病院 まつしま病院勤務後
2011年に、子育て支援 予防医療中心にした「ひだまりクリニック」を、杉並区に開業
2015年から自主事業で産後ケアを開始
2016年からは自治体からの委託事業として、産後ケアに取り組んでいる

講演概要

こども家庭庁が「こどもまんなか」社会を目指して取り組む事業の一つに産後ケアがあります。
産後ケアは、産後まもない母子を見守り、虐待 産後うつ 産後の母親の自殺の予防が期待されています。
産後は、小児科とつながるまでの2か月までが、大変辛く悩みも多く切れ目となりやすい時期で、「切れ目のない支援を」と言われています。

私自身が、産前産後の支援の違いで大きく子育てが変わる経験をしていて、子育て支援は母親支援からと思って開業しました。産後の母親学級に取り組み、母乳育児支援は待っているだけでは効果が低い、切れ目が歯痒い、と産後ケアにチャレンジすることにしました。

産後ケアガイドラインには、「助産師等が参加」とあり、医師の参加は基本的にありませんが、母親の悩みの多くは子どものことであり、児の様々な症状だけでなく、発育発達全般の評価をしたり、継続的に見守り、さまざまなことの予防介入もでき、事故予防にも関われる小児科医は、産後ケアでとても役に立つと思います。子どものことは、やはり産婦人科より小児科医ではないか?と思います。子どもの環境そのものとも言える母親をケアすることは、子どもの成育によい影響を与えます。
子どもの症状や対応法を解剖学的に説明すると納得も得られやすく、現在母親を悩ませている、頭の形の歪み予防や腱鞘炎になりにくい抱っこ、股関節によい抱っこ、などの予防的な介入も早いほど効果的だと考えています。

少子化と予防医療の充実による入院疾患の変化により、小児科医は、今後はcureの視点のみでなくcareの視点を持って仕事をしていくことが大事なのではないでしょうか?

産後ケアの効果などを検証するのは難しいと感じますが、10年ほど続けてきた当院の産後ケアの取り組みについてお話したいと思います。

勉強会報告

参加した皆様のご感想
  • 離乳食の立ち合いをしてもらいたいママの気持ちすごくよくわかりました。そのような利用もできるなんて驚きです。その場でリフレッシュすることも大切だけど、家に帰れば今までと同じことが続くので少しでも育児が楽になることを持ち帰ってもらうのが大切だということ、とても共感いたしました。ママの心配事の8割がたは子どもの事だと思います。わからないことばかりで、自分のせいで子どもに何かあったらどうしようと日々緊張している中で、自分のケアをしながら子どもの心配事も解決できる産後ケア×小児科医はとても素敵な取り組みだと思います。
  • すばらしいお話でした。ばらまき児童手当より、優しい産後ケアが必要と確信しました。
  • 噂には聞いていた「小児科医が開設している産後ケア」の話でした。こんなにママもことを考えていただけているのであれば安心。実体験が動かしていたのですね。助産師の私は、「産後ケアは休む場所でもあるけれど、これからやっていく子育ての大変さと喜びをいかにくぐりぬけていくのかをいろんな専門職の人と一緒に歩んでいけばいいんだよ」って伝えるところだと思ってます。だから時には背中を押され、時にはよしよししてもらい、泣き。これからやっていくから見守ってねと卒業でき、時に後輩育成に訪れるそんな場所なんだろうなと思っています。だから期限はその人が決めるのかな?もしかしてこれって助産所がやること?地域の専門家がやることなのかな?先生のエプロン姿がすべてを物語っているようでした。いつか見学したいです。
  • 初めて勉強会に参加せていただきました。とても素晴らしいお話を聞くことができました。私は普段、神奈川県の産科クリニックで助産師として勤務しています。分娩取り扱い施設ですので宿泊型・日帰り型の産後ケア利用対象施設としても稼働しています。当院は妊娠中から産後ケアの利用を保健指導時にかなり紹介していますので、当院出産の産婦さんのうち、25%くらいの方が延泊もしくは退院後宿泊利用をされています。他院分娩後の母子も生後2か月までであれば宿泊利用をお受けしています。いかんせん、分娩や出産直後の母子、その他の入院患者様の対応など通常業務と並行してのケアとなります。利用者が多くてもスタッフの増員はありません。タイミングによってはマンパワーが十分確保できずもどかしい思いをすることもあります。産科のドクターは産後ケア中の母子には特にかかわることがないため、助産師の負担は結構重いのが産科での産後ケアの現状です。小児科ドクターが産後ケアに係わるという仕組みは本当に素晴らしいことだと思いました。産後のママの関心は赤ちゃんに関することが大半です。そのためのフォロー体制があるのは安心です。きちんとルールとして(報酬などの面で)確立すれば最高なのになと思います。先生のお話や思いをしっかり受け止め、改めて産後のママたちへのケアを丁寧に行っていきたいと感じました。
  • 愛知県で産後ケアの訪問活動をしている助産師です。10年前にひだまりクリニックにお邪魔したことがあります。当時も佐山先生が熱い想いで産後の母子のサポートをされていたのを感じましたが、今日まで変わらず続けていらっしゃることに胸が熱くなりました。大変だけどこどもがかわいい、そう母が思えるための支援は、妊娠、出産、産後、遡れば妊娠前にも必要だと感じます。小児科医と助産師がタッグを組んで産後を見守れるのはとても贅沢だなと思いました。私もできることを工夫しつつ学びつつやっていこうと気持ち新たにしました。
  • 小児科医が産後ケアに関わることの有益性を感じました。自分が体験した産後ケアを振り返りながら、より多くの方に産後ケアが広がるといいなと思いました。頭の形について妊娠中に通っていたマタニティ整体おすすめのベッドやタミータイムを試しましたが、最終的に歪なままになっています。医師の見立てがあれば、違う結果になったのかなと思いました。
  • 広島県在住の者です。初めての育児が双子で、助産院での産後ケアを利用した時に凄く助けられたことを思い出しました。タオルで赤ちゃんの身体を包む「おくるみ」という手法や、横になりながら母乳をあげる技術を学んだり、手作りの栄養バランスの取れた温かい食事に癒されたりしていました。育児には経験や知識のある人の手が必要で、親を頼れない夫婦には産後ケアが必須の事業ではないかと思います。どんな地域に住んでいても温かな支援を受けられるようにするには、育児の当事者や経験者が行政や専門家と繋がりながら、発信したり体制構築に動いていくことが必要かなと考えます。佐山先生の経験に基づく問題意識と、現状を変えようとする情熱に心を揺さぶられた勉強会でした。
  • 私も助産師ですが、産後1か月健診で産科卒業となった後、支援の途切れを感じました。小児科がもっと育児支援の場として活用できるのではないかと思い小児科クリニックに転職し、今は大学院で学びを深めている状況です。助産師だけではなく、医師や多職種と協働して支援を行うことに意義があると感じています。母乳外来はすでに実施(自費)しており、産後ケアを取り入れることに対して医師も賛同はしてくれますが、実際に一般診療を行いながら実施するとなると、人員配置なども問題となってきます。助産師が産後ケアなどで対応している間は、他の看護師に負担もかかるということを遠回しに言われることもあり、まだまだ必要性については浸透していないと感じる日々です。その背景としては、診療報酬などで加算が取れないことなども関係しているのではないかと思います。少子化の世の中であるからこそ、もっともっと小児科が産後ケアに関わっていくべき!さらに言えば、妊娠中からもつながっておくべきだと思っています。

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