オンライン診療の普及によって生じている
「メディカル・ギャップ(Medical Gaps)」 ~ 患者・元SEの視点から

講師概要

講師

林 夢都美
(夢ソフトウェア工房 代表)

講師プロフィール

1970年石川県生まれ。2006年4月に夢ソフトウェア工房を起業(フリーランスエンジニア)。 起業当初はソフトウェア開発(医療系システムの開発にも従事)がメインであったが、現在では鉄道模型関連パーツの製作・販売がメインで、印刷物デザインの仕事もこなす。

2015年に性と健康を考える女性専門家の会に入会。2017年4月に性と健康を考える女性専門家の会が一般社団法人となった際、理事に就任。これまでの経験から「メディカル・ギャップ(Medical Gaps)」を提唱。現在、「メディカル・ギャップ(Medical Gaps)」を広める活動を行っています。

勉強会報告

今年度の勉強会は、以下のように年間4回を通して、すべてオンライン配信にて「メディカル・ギャップの解消に向けて:オンライン診療の在り方も絡めて」をテーマに開催いたします。

  • 第2回 2020/11/7(土) 山中 京子  ソーシャルワーカー/カウンセラーの視点から
  • 第3回 2021/1/23(土) 宮原 富士子 医療従事者(薬剤師)の視点から
  • 第4回 2021/3/13(土) 宋 美玄    医療従事者(産婦人科医)の視点から

その第一回は「メディカル・ギャップ」の提唱者であり、その解消に向けて活動しておられる当会の理事でもある林 夢都美さんのお話を伺いました。

まず、「ギャップ」とは「大きなずれや食い違い」のことであり、「メディカル・ギャップ」 とは、医療がかかわる場面で、起こる様々なギャップ のことを指します。これまでも当会では、女性の性と健康にかかわるギャップ を解消するため、低用量ピルの解禁や10代向けの性教育の充実など、様々な活動を行ってきていますが、「医療」(Medical)分野におけ「ギャップ」(Gaps)の解消という当会の活動を象徴する言葉として「メディカル・ギャップ(Medical Gaps)」 という言葉が誕生したという説明がありました。今回こういう経緯を伺えたことは、今後の活動の励みになりました。

続いて、医療従事者起因のドクターハラスメントや患者起因のモンスターペイシェント、法律や制度の等の社会的要因が起因する医療難民や複数の要因が重なった数々の「メディカル・ギャップ」について、解消されずに困った事例や解消された事例が示され、「メディカル・ギャップ」を生む様々な問題に気づかされました。

更に、最近話題になった 医療向けITツールや緊急避妊薬のOTC化、HPVワクチンの 副反応問題について、そこに存在する「メディカル・ギャップ」とその解消に向けた対策として、各自が取り組むべき課題も示唆されました。

最後に、本格的に稼働しだしたオンライン診療において生じている、「メディカル・ギャップ」について、患者としてだけでなくシステムエンジニアとしての視線で、オンライン診療のメリットや普及するためのポイントを具体的に(リアルとの組み合わせ方、患者の状態の把握、会計処理、処方完了までの時間短縮、既存システムに活用)挙げていただき、コロナ禍の時機を得た内容に、教えていただくことが満載でした。テクノロジーの進化に追いつくのは容易ではないですが、熟練した方とつながれれば第一歩はクリアかなと思ったことでした。

今回が初めてのオンライン配信での勉強会でしたが、質疑応答は活発に行われ、参加者の皆様のおかげで双方向の議論ができたことをありがたく思っています。議論の中で、患者と医療関係者がコミュニケーションを重ね、信頼関係が生まれただけで解消する「メディカル・ギャップ」もあれば、それぞれがこれまで気づくことのなかった、「メディカル・ギャップ」に気が付いて、共に立ち上がるところから、最終的には制度の改革に至るような解決法もあるという認識が共有されたと思います。
そのためには、個々が隠れた「メディカル・ギャップ」を見逃さず、患者と医療従事者が広くつながることが肝要かと思われます。ぜひ引き続き第2回以降の勉強会にもご参加ください。